椿りつの忘備録

椿りつの学びの記録や気づきをまとめたブログです。

2/16 新井素子先生『ショート・ショート・ドロップス』トーク 覚書

2016年2月16日(土) 新井素子先生『ショート・ショート.ドロップス』トークの、覚書です♪

 
「もう一人呼ぼうかと思ったんだけれど。」と、新井先生。
普段は一人で出ることはないトークイベント、それでも複数いる作家さんのうち一人だけを選んだり呼ぶのもどうかと思われたとのこと、今回はおひとりでのご登壇でした。



トークの目安として、400字詰原稿用紙一枚分が、普通の人の1分。

今回は40分話すので本来なら40枚原稿を書かなければならない。

でも、新井先生の場合は読むのが早めなので70枚いっちゃう。

アナウンサーの人は話しながら時間把握できるけれど、時間把握できるモノ書きはおそらくそれほどいない。いや、できるひともいるかもしれないけれど。

 

女性だけのショート・ショートがないので、それでは編集しよう!と進めてみたが。なぜ世にショート・ショート女性作家編がないのか、よっく分かった。女性作家のショートショート自体が、大変少ない。

大倉タカシさんや江坂遊さん田丸雅智さんなど、ショートショートはすべて男性。

矢崎在美さんの『初恋』はものすごく気に入って、あんまり気に入ったので、旦那さんにその場で一本朗読したぐらいで、その後も編集さんがそうだろうと思われたのか、帯のお仕事も頂いたくらいだった。しかし、編集するにあたっては、女性作家ショートショート、この『初恋』以外が見つかんない。

 

そこで星新一賞ショートショートひろばを探したのだが、気に入った作品が見つかっても、プロになってくれないと連絡先がわからない。著者がどこに行ったかわからない問題が発生。女性作家さんのショートショートは意外と長い、平気で40枚くらいはある。そこで今度は短編集をあたった。稀に短編集があっても連作短編が多い。一本80枚くらいある。80枚だと4、5本で本一冊になるので、編集さんが頼みやすいのだと思う。

 

星新一賞ショートショートコンテストは枚数ではなくて、何文字で募集しているので編集しにくい。しかも、一人の素人が質の揃ったショートショート10枚を30本は難しい。

 

この本(『ショート・ショート・ドロップス』)にも面識のない方が2名。
最近のライトノベル作家、女性を探したくても性別がわからない。著者の写真はない。猫、イラスト、鳥の写真などが代わりにあり、略歴には生年月日もない。人の履歴が全くわからない。まさか、個人情報とか言わないよね。なぜ不明にしているのか全くわからないのですが、作家の性別かくしてどうなるんだ?

3年経って、30枚以上のものを外すと短編集として成り立たないことがわかったので、入れることにした。50枚以上でとても入れたい、ととてもとても迷った作品があったのだが、さすがにこれはショートショートではない、と断念した。

 

他、眉村卓さんが奥さんが入院された時に1日に一編ショートショートを作られたお話、新井先生のデビュー時のお話と、当時はショートショートが書けなかったのでショートショートランドという講談社の雑誌に取材記を書かれたお話、そのとき短編作家さんたちは同期の結束が固くてうらやましいくらい仲良しだったとつづき、掲載媒体のお話になりました。

 

ショートショートは本にしにくい。

企業の社内報に作家のショートショートを載せる場がある。昔は多かった。
編集部の予算と広告予算の規模が大違い。広告予算でのショートショートの依頼が多かったのではないか。

人工知能学会編のショートショートは学会誌に載っていた。
学会誌なので、横書き、読点、句読点がそれぞれ本当にピリオドとカンマで掲載されていた。それを縦書きに直して短編集を編んだ(『人工知能の見る夢は〜AIショートショート集)』文春文庫)。その時の作品にショートショートがあったので2本拝借して形になった。これがなかったらもっと大変だった。


星さんもよくおっしゃっていたが、原稿は400字1枚いくらの世界。
短編と長編の1枚が同じ値段なのは本当におかしい。短編は一本いくらにしてほしい。

田丸さん江坂さん太田さん。ショートショート作家さんは好きでしょうがなくて書いている。紙媒体の雑誌はどうぞ潰れないでほしい。


<質問への応答など>

デビュー時と現在とご自身で変わったところはありますか?
変わったなぁと思うのは、昔は本当にわかんなかった。
自分で何やってるのかわからなかった。

30年やって、自分はどうも小説が書けるらしい、とわかった。
40年やって、どうも言われた枚数を書けるらしい、とわかった。

電子書籍について(新井先生は、断然、紙の本推し)

スマホになったら読むかも?
あなたはすでにその本を買っています!と言ってくれるのはいい。


パンデミック系の作品はかかれませんか?
もう怖いからから…。致死率100%の病気。そう思うと『天冥の標』の冥王斑って、コワいよね〜。(ここで『天冥の標』のお知らせ。)って人の作品の宣伝してどうすんだ。

編集の収録順番について
とにかく『初恋』はトップと決まっていた。
なんとなくかわいい、楽しい。しみじみ、切なく、ちょっと笑える。と、読んだ時の印象をメモしてこの順番がいいかな?と試行錯誤している。




その他、新刊ニュースがたくさんありました♪
声が大きく上がって楽しみなのが、『星から来た船』。上(5月)、中(6月)、下(7月)と新装版の刊行ニュース。それぞれ太一郎さんと真紀子さんの出逢い、ケンカ、(未定?)とオマケ短編つきとのこと。

それに、柏書房から出るという『扉をあけて』『ラビリンス(迷宮)』『ディアナ・ディア・ディアス』の装幀が、なんだかすごそうでした♪